第323話 アマチュア領域

 
【323話】プロの定義/他者評価/安定高品質納品力/アーティスト領域でのプロ問題/90点のバランス感覚が物足りない/AIが高度なものを作る時代/再現性があるものはAI化が可能/コンビニ店員AIは歓迎/アーティストのAI代替問題/レジェンドは存在価値/魂感じる作品に心動かされる/作者の切実さが生む作品/プロの保守的姿勢/アマチュア作品が刺さる/クライアントの要求に応える/90点出し続けないと退場/純粋に作りたいもの/制約条件/実験的試みと失敗を求める心/毎回90点のライブは退屈/神がかったライブは一期一会/50年に1度の流星群を観たい/120点と30点/表現活動は実験的に失敗上等で/プロ領域とアマ領域の住み分け/自己理解して活動を組み立てる/来週の公園活動スケジュール
 
 
 

プロフェッショナルとは何か

最近、プロであることとアマチュアであることについてよく考える。端的に言えば、プロとは「調子が悪くても90点以上を出せる人」のことである。
この90点という基準は、他者からの評価を意味している。学校のテストが先生の問いに対する正解率で点数化されるように、プロは様々なステークホルダーからの期待という問いに対して、常に90点以上の回答を返していく存在だ。
これは弁護士や公認会計士といった資格を持つ専門職だけの話ではない。コンビニ店員であっても、いつ行っても安定して90点以上の接客をしてくれる人はプロフェッショナルと呼べる。一方で、90点を出す日があっても、翌日に不機嫌で42点の接客をするようでは、プロとして安定感に欠ける。
高品質なサービスを安定して提供できることが、プロには欠かせない要素なのである。

アーティストにおけるプロの両面性

医者や店員にはプロであってほしい。毎回90点以上の診療や接客を期待する。しかし、アーティストのようなクリエイティブな領域になると、プロであることに対して複雑な思いを抱く。
プロのアーティストは確かにすごい。クライアントを満足させながら自分のやりたいことを織り交ぜ、バランスの取れた仕事をしている。だが、個人的にはそんなバランスの取れたものが見たいわけではない。
AIが高度なものを作れる時代になり、それはさらに加速していく。バランスの取れた高度なもの、つまり再現性のあるものは、どんどんAIで代替可能になっていくだろう。90点を毎回出すには再現性が必要で、再現性があるということは共通する要素があり、それが特定できればAIでも再現できてしまう。
コンビニ店員がAIに置き換わり100点の接客を毎回してくれるなら嬉しいが、アーティストがAIに置き換わることには違和感がある。

切実さから生まれる作品

私の心を動かすのは、作者の魂が感じられる作品である。作者が作品を作りたくて仕方ない、作らざるを得ないという内側から湧き出る切実な何かから生み出されたもの。そこに一定の技術や技法が合わさったとき、心を揺さぶられる。
プロが作る作品は、どこか90点を取らなければならないがゆえの保守的な姿勢がある。タイアップのドラマに合わせた曲など、すごいことではあるが心は動かない。プロのアーティストが作る作品は基本的に「すごいけどつまらない」と感じてしまう。むしろアマチュアの人が作る作品やパフォーマンスの方が心に響く。
プロは市場やファンの期待に応え続ける必要があり、90点以上を出し続けなければ退場させられる。制約の中で作品を生み出す職人技は尊敬すべきものだが、アーティストには実験的な試みを求めてしまう。
70点や30点の作品になるかもしれないが、納得のいく実験結果として世界に投げかける。そのムラや実験の行方を含めて、アーティストの活動をウォッチしている。毎回安定した90点ではなく、出るか分からない120点と、それに挑戦して失敗した30点が見たいのである。

プロとアマチュアの住み分け

自分自身の活動に引き寄せて考えると、公園活動はとてもアーティスティックなチャレンジだが、サービスを提供する観点では安定感が欠かせない。公園的な空間を自分自身がシンボルとなって作り出す意味では、安定したクオリティを保つプロでありたい。メンバーシップでお金をいただきながら活動する以上、その覚悟を持っている。
一方で、ポッドキャストやエッセイ、バンド活動といった表現の領域は、どこまでもアマチュアでありたい。実験的な試みとして自分が今思うやり方でやってみる。失敗することの方が多いが、時々うまくいく。ステークホルダーを気にせず、書きたいことを書き、話したいことを話す。
個人が発信できる時代だからこそ、誰もがある意味アーティストになれる。だからこそ、自分の中でプロでありたい領域とアマチュアでありたい領域を明確に理解し、住み分けながら活動を組み立てることが大切だと考えている。
 
 

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